フランカ・シュート (佐藤弥生 訳)

  This is the world of Harmony between Mankind and Nature that I wish to hand down to our children.                 FRANCA SCIUTO                           
  

   メッセージ文〜



        私たちが住む世界は、私たちみんなの生命を象徴している。それは私たちのたったひとつの未来。子供たちの未来。それなのに、世界はゆっくりとへ向かっている。生態系の破滅が日々私たちをおびやかす。
  
     
熱帯林の破滅は、まちがいなく、世界がこれまで直面した最大の脅威。それは核戦争の脅威と並ぶほどの危機だ。熱帯林は地球上の生命をささえあう輪の中で、なくてはならないもの、真水を作り出し二酸化炭素を私たちが呼吸する酸素に変えてくれることを私たちは知っている。

 
  

       まだまだ大切なことがある。それは、一万年以上も自然界と親しんで暮らしてきた人たち、幾千年にもわたって熱帯林の植物や生物にひそむ神秘を学んできた人たちのすみ家であるということだ。

     
木々は私たちに助けを求めることができない。森の動物たちも、川の魚たちも助けを求めることはできない。けれども森の人々は私たちに助けを求めてきている。私はブラジルのアマゾンに住むカヤポ族代表のメッセージを聞いた。


  
煙が充満して、動物たちはみんな死んでしまった。川も同じだ。私の魂は絶えず警告を発している。森が破壊されてしまったら日陰がなくなってしまうぞ、と。強い風が吹き荒れ、太陽は照りつけ、息をすることもできなくなる。そして、みんな死ぬだろう。これが私の恐れていることだ。みなさんにお願いしたい。考えてほしい。どうか考え方を変えてほしい。ジャングルをそっとしておいてほしい。 


      

       
私は気づいた。人類と自然の調和は森から始まるのだ。森は監視人がいなければ死んでしまう。人間は森がなければ死んでしまう。インディアンたちの運命と森の運命、そして私たちの世界の運命。これらはすべて、つながっている。

     私たちはともに責めを負い、時勢の流れを変える道を見つけなければならない。子どもたちによりよい世界を残すことを望むなら、価値観と優先順位を見つめ直して、私たちの行為が世界とどう影響しあっているのかを考えるべきだろう。

     原住民たちの闘いは、私の闘いとなった、
よりよい世界を伝えるために何をしたのかと、私の子どもたちに尋ねられたら、地球最古の住民たちが土地と文化を守る手助けをしたのだと答えたい。子どもたちが自然と仲よく暮らすすべを彼らから学べるように。

                               

          毎日新聞「花の万博に寄せて世界のワーキング・マザーが語る21世紀への想い」特集より

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